(1)翻訳が重要
日本からアメリカ合衆国へ特許出願をする際には、通常は、日本語の特許明細書を英語に翻訳することになります。
この際に重要なことは、
[1] 翻訳前の日本語の明細書が米国特許申請書の形式を満足していること
[2] 翻訳前の日本語の明細書が米国特許法の記載要件を満足していること
[3] 翻訳後の英語の明細書が技術内容を正確に表現していること
[4] 翻訳後の英語の明細書が正しい用語を使用していること
[5] クレーム(特許請求の範囲)が正確に権利範囲を表現していること
[1][2]については米国特許法の知識が必要になります。
[3]については、技術的な知識と、技術翻訳についてのスキルが必要になります。
[4]については、技術翻訳の他に、米国明細書についての経験が必要になります。
[5]については、単にクレームを翻訳するのみならず、クレームドラフティング(特許請求の範囲の作成)についての知識が必要になります。
日本での特許明細書がいかにすばらしいものであっても、出願内容を十分に理解しない翻訳者に直訳されたまま出願される結果、権利範囲が異なってしまったり、拒絶されてしまうこともあります。米国特許出願を検討する際には、まず、上記[1]〜[5]について十分に満足できるかどうかを考える必要があります。
(2)コミュニケーションが正確にできること
米国への特許出願においては、出願者の意図が米国特許庁の審査官に明確に伝わることが必要なことはいうまでもないでしょう。この際には、日本語と英語という言語の相違と、間に人を介して行う必要があるという2つが大きな問題となります。
日本語と英語の言語の相違を埋めるためには、日本語と英語の双方に通じている介在者が必要ですが、これだけでは十分ではなく、介在者のコミュニケーションをする内容についての造詣が深いことが必要です。
また、人を介して行われるコミュニケーションを正確にするためには、できるだけ間に介在する人を少ないことが求められることはいうまでもありません。
従って、理想的なコミュニケーションの環境は、特許庁との間には、米国特許及び技術の造詣が深く、又、英語・日本語のいずれにも堪能な介在者のみが存在する状態だということがいえるでしょう。
(3)適正な費用
米国への出願に関しては、複数のルートがあり、各事業者がそれぞれが独自の料金設定をしていますので比較が困難です。
従って、場合によっては不当な費用を支払うこともありえます。また、経費を抑えることにより、出願件数を増やすことができ、これにより強い権利の束を作ることができます。
一方で、ただ安ければよいというわけでもありません。最終的に望む権利範囲の特許権が得られなければ、安くても費用は無駄になることも多々あります。
ですから、必要なサービスを適正な費用により受けることができるように比較検討することが重要になります。
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