一般的な米国出願のルートと、そのメリットとデメリットは次のようになると考えられます。

最も一般的な米国出願ルートは、
日本で特許出願をした特許事務所を通じて米国特許事務所経由で
米国特許庁へ特許出願をするルートです。
この場合、日本の特許事務所が、米国出願の形式に書類を書き直し、
事務所内もしくは外部に依頼して翻訳を行います。
米国特許事務所では、簡単な書式チェックをした後に出願手続きを行います。
■メリット■
・出願内容を熟知している
日本特許庁に対する特許出願明細書を作成していますので、発明の内容を良く知っています。
・特許・技術知識の水準は高い
特許に関する基本的な知識や経験、技術に対する理解力などは高い水準にあります。
■デメリット■
・英語力の不安
英文の最終チェックをする日本弁理士の英語力は多くの場合、学校英語の域を出ません。また、翻訳者も技術的法律的知識が十分でないことが多く、優秀な人もいますがそうでない人も多く玉石混合です。
・米国特許法についての知識が書籍レベル
米国出願書類の作成、特に、クレームドラフティング(請求項の作成)については、実際の裁判でどのように解釈されているかという知識が重要ですが、日本の弁理士は、書籍から得た知識がしかない場合が多く、判例レベルの知識をもっている人は少ないのが現状です。
・米国特許庁に至るまでに2者が介在
米国特許事務所と貴社との間には、日本の特許事務所と米国の特許事務所の2者が介在しますので、米国特許庁とのコミュニケーションに際して的確に意図が伝わらない可能性があります。
・料金が比較的高額になりやすい。
翻訳が日本の特許事務所で行われることで翻訳代が高くなり、また、日本の特許事務所手数料も比較的高額になることから、トータルの料金は高額になる傾向があります。
一般的な米国特許出願ルート(2)

もう一つの一般的な米国出願ルートは、
日本の翻訳会社を通じて米国特許事務所経由で
米国特許庁へ特許出願をするルートです。
この場合、翻訳会社が、米国出願の形式に書類を書き直し翻訳を行います。
米国特許事務所では、やはり簡単な書式チェックをした後に出願手続きを行います。
■メリット■
・比較的安く出願をすることができる
日本特許庁に対する特許出願明細書を作成していますので、発明の内容を良く知っています。
・英語の能力自体は総じて高い
翻訳を仕事としてやってますので、英語力の水準は高いと考えてよいでしょう。
■デメリット■
・法律的・技術的知識は不安
特許についての法律的知識、特に特許請求の範囲の解釈に関する知識が十分でないことが多く、また、技術者出身の翻訳者もいますが、総じて技術的な知識は強いとはいえません。
法律的部分を米国事務所がチェックする場合もありますが、割高になり、また、日本の出願との対比はできないので、日本語の内容を正確に反映しているかどうかの判断はできません。
・翻訳者は玉石混合
翻訳会社のキャリアの違い、外部翻訳者、専門分野など、様々なレベルの翻訳者が存在し、翻訳の出来はどの翻訳者に当たるかによってほぼ決まってしまいます。しかし、優秀な翻訳者は忙しく、常に優秀な翻訳者に翻訳をしてもらえるとは限りません。
・米国特許庁に至るまでに2者が介在
米国特許事務所と貴社との間には、日本の特許事務所と米国の特許事務所の2者が介在しますので、米国特許庁とのコミュニケーションに際して的確に意図が伝わらない可能性があります。
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